青武学舎では1級(茶線帯)及び中学生以上の道場生に定期的に小論文の提出を呼びかけております。
稽古を通じて行う素読と訓話による道徳教育をただ耳で聞き頭に留めるだけでなく、目前に与えられた小論文の表題をきっかけに自分から熟考させ心の深部まで浸透させることを目的とします。
厳しい稽古を通じて『身体を使い育んできた』道徳心を文章に表わそうとすることにより多感な時期に差し掛かる彼らの『自己の内面と向き合う』機会となればと考えております。
胆(はら)に落とし良く考え、自分と向き合い、それを文章に表す―
そのような私たち空手道修行者は『学校』という世界でどのような存在であるべきだとあなたは考えますか?
あなたの考えを400文字以内の文章に表わして下さい。
Y君 (当麻道場 中学1年生)
どんなに仲の良い友だちであろうと、いじめをしていたり暴力をふりけんかをしていたり学校の校則をやぶっていたりしていたら注意をし、人やテレビに流されないで道徳訓を貫きたいです。
ただ文に書いたりただ声に出すだけでは意味がないと思います。書いた事、声に出した事を実行させる事が大切だと思います。
ただ書いた、ただ言った、それでは本物ではないという事です。
まだ自分でも本物ではない点がいくつもあります。
その本物ではない点が一つでも少なくなるように僕は空手をやっています。
ただやさしいだけでは意味がありません。
強さが必要だと思います。
強さの面では自分はほんの一部を習ったにすぎません。
本当の強さにはもっと勇気が必要だと思っています。
強くなっていばりちらすのはかんたんです。
僕は道徳を貫ける空手家になりたいです。
Sさん (橋本道場 高校1年生)
私達空手家は、いじめやテレビに流されないような心の強い存在であるべきだと思います。
今はテレビでおもしろいことをたくさん見ることができます。
良いことを放送している番組もありますが、人を楽しませるために暴言をはいたり、けなして笑いをとったりする番組も少なくありません。
そのような番組に影響されてしまう人もいると思いますが、影響されずに注意する立場に立つのが日頃の稽古で道徳訓を読んで正しい心を身につけている空手家だと思います。
自分もいじめに加わらなければ仲間外れにされる、テレビでやっていたおもしろいことをすれば友達が笑ってくれる…
確かにそうかもしれませんが、そんなことで寄ってくる友達は本当の友達ではないと思います。
自分の考えを貫いて学校を良い方向へ引っ張っていけるような存在になるために、これからもしっかり稽古をしていきたいです。
ぼくが空手を習い始めたのは、気持ちを強くするためです。
気持ちが強くなるといじめやけんか、悪いことをしていたら止める勇気がでると思います。
自分が悪いことをしてしまったら素直に謝ることも大事だと思います。
自分の思っていることばかり相手におしつけるのではなく、相手の気持ちを考えて相手の話もよく聞いて行動するようにしていきたいと思います。
人に喜んでもらえるような良いことをすれば良いことが自分に返ってくると思うし悪いことをしてしまった時には悪いことが返ってくると思うので気を付けていきたいです。
友達がなやんで困っていたら相談にのって力になってあげたいと思います。
自分が困っている時に、相談できる友達を作っていきたいと思います。
できない約束はしないで、約束は守っていきたいと思います。
約束をやぶってしまえば、信用してもらえなくなるし、信用をとりもどすのはむずかしいので、約束は必ず守り友達を大切にします。
ぼくは空手で仁・義・礼・智を学んで、普段家族と思いやりの心、礼儀作法や正しい判断ができるように心がけて、人にめいわくをかけないように生活しています。
これからも、仁義礼智を頭に入れ自分の力で生きていけるようにがんばりたいと思います。
生まれてからの自分の成長を振り返り、自分の成長が家族の愛情に支えられてきたと思います。
今までわがままを言ってしまったり、これからもわがままを言ってしまうかもしれないけれど、今まで育ててくれた両親に感謝の心を持ち、今すぐはできないけれど、親孝行をしたいと思っています。
ぼくの親孝行とは、これから一生懸命べんきょうし、立派な社会人になる事です。
そして、困難な事にも負けず、自分の力で生きていく姿を見せる事です。
●あの忘れてはならない東北地方太平洋沖地震から一年が経ちました。
震災から一年が経ちました。
三月十一日、私は学校で授業を受けていて突然の長く大きな揺れに驚いたことを覚えています。
それから数カ月間、ニュースでは毎日被災地の話題が報道され、募金活動をする人や被災地へ出向きボランティアをする人、節電をする人などたくさんの人の気持ちがひとつになりました。
私は昨年六月から空手を始めました。
そこで道場の電気を消して被災地のことを忘れてはいけないと呼びかけていた先生と出会い、被災地のことをすっかり忘れていた自分が情けなくなりました。
一年が経った今でも被災地には苦しんでいる人がいます。
そんな人の為に私が何をできるかは分かりませんが、目の前にある空手の稽古や勉強などを全力でやり、困っている人のことを忘れず、たくさんのことを学んでいつか誰かの支えとなれるような空手家になりたいです。